専門家コラム

注目の産後ケアって、どんなケア?出産は心と体を再構築するチャンス!

チルチェ産前産後ケアプロジェクト代表 小野崎あゆみ

注目の産後ケアって、どんなケア?出産は心と体を再構築するチャンス!

最近メディアでも取り上げられることが多くなりましたが、まだまだ浸透していない産後ケア。いったい「産後ケア」って何でしょう?「産後ケア」とは、「産後女性ひとりひとりの自立をサポートする」ことです。

産後ケアって何?

産後ケアと聞くと、産褥期の産後入院、産褥ヘルパー(家事代行)、骨盤矯正を思い浮かべるかもしれません。そちらも産後ケアサービスのひとつになります。

私が約4年前から浜松市で活動している産後ケアは、一般社団法人体力メンテナンス協会の産後ケアプログラムです。腰や膝など関節に負担がないバランスボールでの有酸素運動で育児に必要な体力をつけ、肩こり・腰痛・坐骨神経痛などの産後特有の体の不調を自分で改善する方法を学び、脳内メンテナンスやコミュニケーションワークなどで心を整え、子供がいるからこその、自立した女性を目指します。産婦人科医・泌尿器科医・脳科学医学博士・大学教授(理学療法士)・臨床心理士など各種専門家の監修を受けている産後ケアプログラムです。

「産後トータルケア6回コース」というクラスを開講し、産後2カ月~小学生のママまで多くの方が通っています。肩こり・腰痛などの産後特有の体のケアはもちろん、自分自身の棚卸、パートナーシップ(夫婦関係)や親子関係、数年後のビジョンなどを掘り下げ、伝える、聴く、まとめる、という脳トレワークをします。少子化問題・産後うつ・産後クライシス(夫婦不和)・モンスターペアレント・虐待などの、社会問題にも対応できるクラスです。

また、専門家向けの産後学講座や、指導者になりたい方のための産後指導士養成講座も開講し、養成講座卒業生達とチルチェ産前産後ケアプロジェクトとして静岡市から愛知県豊橋市で産後ケアを広める活動をしています。

「産後ケア」とは、「産後女性ひとりひとりの自立をサポートする」ことです。支援してもらう(やってもらう)ことも大事ですが、その後は、自分軸で考え、自分に誇りを持ち、自分の体や心や人生を好きなようにデザインしていく力をつけていくことが大切です。

出産おめでとうございます!産褥期の理想的な過ごし方は?

出産して、病院を退院すると、いきなり24時間育児が始まります。上手くおっぱいを飲んでくれなかったり、夜寝てくれなかったりしますが、できなくて当たり前!慌てなくて大丈夫です。産褥期は家事はせず、体をしっかり休ませて回復させます。出産は全治1ヶ月の交通事故にあったようなものです。

元々体力がある方は産褥期に動いてしまうことがありますが、悪露が出ている間は「キズを修復している期間」になりますので、骨盤底筋群に内臓の重みがかからないよう、時間がある時は横になるようにしてください。また、視力もとても落ちる時期です。携帯を使う時間が増える時期でもありますが、なるべく携帯・スマホやパソコンから離れ、目を休めるようにしてください。

私がオススメしていることは、授乳時間などを記入する育児日記をつける事。そちらに、自分の気持ちを記入する欄も作ってください。

日本人は、自分の気持ちを素直に相手に伝える、ということが苦手です。不満を溜めて溜めて溜めて旦那さんに爆発させることがよくありますので、言えなくても書いておくことで少し解消する事ができます。赤ちゃんのかわいい様子はもちろん、行きたい所ややりたいこと、辛いよ、大変だよ、という気持ちも思ったことはどんどん書きましょう。メールでもなく、SNSでもなく、「書き出す事」がとても大切です。育児日記は旦那さんが読める所に置いておきましょうね。

出産は体と心を再構築させるチャンス!

「恒常性」という言葉を聞いたことがありますか?

恒常性とは、体を一定に保つ機能の事です。
たとえば、平熱36.5度の方が発熱して38度になりました。熱が下がり元気になると36.5度に戻ります。35.8度ではないですよね。一方、35.8度の低体温の方が発熱して38度の熱が出て回復したら35.8度に戻ります。36.5度ではないです。それは、恒常性が働いているから。35.8度の低体温でも、「これがこの人の体で通常」となっているので35.8度に戻ります。

しかし、妊娠・出産・産後の周産期は女性ホルモンのバランスが崩れる時で、この恒常性も働きにくくなる時です。という事は、今までの体質を改善させやすい非常に良い時期になるので、直したいなと思っている生活習慣を直しやすいのです。一番効果がある時期は、授乳期と言われていますが、抱っこをしなくなる時期(3~4歳)までは効果があります。

姿勢や動き方など体の事はもちろん、思考など心の状態も再構築させるチャンスです。
男性は、この恒常性が働きにくくなる時期は思春期と更年期しかありません。女性は出産するごとにチャンスが訪れるのです!

妊娠~産後の周産期は女性ホルモンのバランスが崩れます。それに伴い、自律神経にも影響が出るのでイライラしやすかったり、興奮しやすかったり、逆にふさぎ込んでしまいがちだったりします。私が悪いのではないのか?と思ってしまいがちですが、あなたが悪いわけではありません。女性ホルモンのイタズラだから誰でもなりうることです。

女性ホルモンも自律神経も、私達がエイッと命令して動くものではありません。しかし、自律神経の中の呼吸だけは、自分でコントロールができます。息を吐く事で自律神経の副交感神経が優位になります。イライラを解消してくれたり心を落ち着かせてくれたりします。

また、自律神経の大元のブレーカーのようなものは脳の視床下部というところにありますが、各お部屋のスイッチのようなものは背骨に沿って配列されています。なので、ゆっくり呼吸をしながら背中を大きく動かす、ということもとても大切です。特に副交感神経のスイッチは首と骨盤(仙骨のあたり)にあります。赤ちゃんが泣きやまない、興奮しているときも、首から背骨に沿って骨盤までゆっくりさすってあげると落ち着いてきますよ。

もう一つ、自律神経を整えるために有酸素運動をお勧めしています。特にバランスボールを使った有酸素運動は、腰・膝など関節に負担をかけずに育児に必要な体力をつけてくれます。運動をして交感神経を優位にして、その後のストレッチやリラクゼーションで副交感神経を優位にさせます。血液の循環も良くなり新鮮な酸素が体中に行きわたります。音楽に合わせて軽く弾んで簡単に手足を動かす事によって楽しくなってきますので、やる気が出ない時でも何となく弾んでいるだけで気力が湧いたりします。

また、バランスボールは赤ちゃんの寝かしつけにも使えます。頭が揺れないようにしっかり抱っこして弾むと、揺れが心地よくあっという間に寝てくれます。授乳しないと寝ないとなるとママは大変ですが、バランスボールだと寝かしつけをパパや家族にお願いする事ができます。それだけで、ママの心も軽くなりますね。

出産をすることで子供を通して世界が広がります。ママの生活が制限されることもありますが、その分、子供たちが今まで見えていなかったすばらしい世界を見せてくれます。育児は一人ではできません。夫婦二人だけでもできません。信頼できる人の手を借りながら、この、人生の中で貴重な妊娠・出産・産後という時期を楽しんでくださいね。

チルチェ産前産後ケアプロジェクト代表/小野崎あゆみ

体育系大学を卒業後、運動指導の仕事へ。3度の出産後は、今まで体を整える仕事をしていたにも関わらず、坐骨神経痛、肩こりからの頭痛などに悩まされ、3人目産後4ケ月の時には初めてぎっくり腰も経験。体操などもしていたが、イライラなどの心の不調もひどく、「産後は体のケアだけでなく、心のケアも必要」と浜松市にて産後トータルケアクラスを開講。専門家向けの講座や養成講座など指導者育成もしている。

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